ペット用品のチャンス到来
群衆の反応にめんくらったのか、J氏は、悔しさと怒りをあらわにしながら、世界に向かって、敵対関係にあった両社が新たな緊張緩和の時代にはいることを宣言した。
M社は、経営難にある大敵に1億5千万ドルを出して、議決権のない株を900万株を買い取るだけでなく、A社のテクノロジーのライセンス料として1億ドルを支払うという噂だった。
B氏はさらに、これから5年間にわたってマック用のソフトウェアを開発すると約束した。
A社は、もと最高経営責任者のJ氏が起こした、ウィンドウズの見た目と操作感にまつわる成果のない訴訟を取り下げることに同意した。
しかも、A社はすべてのマックで標準ブラウザとしてインターネットエクスプローラを搭載し(もとはネットスケープ・ナビゲータだった)、JAVAプログラミング言語についても、開発者であるS社の本来のものではなく、マイクロソフト版を使うことになった。
この完全勝利により、M社は、自社のブラウザを展開させるプラットフォームを増やしただけではなく、かつてA社とN社とO社が結成した、非公式の反マイクロソフト派JAVA連合の心臓に短剣を突き立てたのだ。
A社のシェアが低下し、過去18ヵ月に1500億ドル以上の赤字を出していた状況では、レドモンドの巨人との対立に終止符を打つしかなかったのだ。
「前進したいと思うなら、なにかを犠牲にするしかない」ジーンズ姿の英雄は語った。
のちに、A社の重役たちは、M社が苦闘するライバルに圧力をかけたのだと非難した。
ブラウザ関係の契約にサインしなかったら、マック用ソフトウェアの開発を中止すると脅したというのだ。
A社の支持者はこの取引を歓迎しなかったかもしれないが、ウォール街は歓迎した。
その日のうちに、A社の普通株は33パーセント上昇して、同社の株式価値を8億3000万ドルほど高めた。
A社支持者の多くにとって、M社との戦いは聖戦だった。
彼らにしてみれば、マイクロソフトは、競争相手をつぶしたり吸収したりして身勝手な標準を世界に押しつける、悪の帝国にほかならなかった。
A社は反抗勢力の代表だったJ氏がかつて語った、「ほかのみんなのため」に高価なコンピュータを作る、革新的な企業だ。
A社とM社は、情報時代が幕をあけたころからずっと角を突き合わせてきた。
パソコン業界では有名な戦いだ。
多くの人びとは、大魔王B氏が、A社のポイント&クリック式OSというアイディアを盗み、巧みな価格設定と営業戦略で、A社を圧倒したのだと信じていた。
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